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フィンランドを代表する建築家、デザイナーとして世界的に有名なアルヴァ・アアルト。アアルトが1936年に建設したヘルシンキの自邸(アアルト・ハウス)へと、2019年1月の旅行でガイドツアーに参加しました。北欧らしいシンプルかつ華やかなデザインに感動すること間違いありません。
- 場所はヘルシンキ北西部、トラム4T終点から2つ手前で降車
- 2019年現在、入館料は大人20ユーロ(月曜休館)
- 午後にはガイドツアーがあり、参加者全員日本人なら日本語ガイドもある
- 肝心の内装は…口で説明するより、写真をご覧ください
アアルト自邸の場所はヘルシンキ北西部
アアルトの自邸は、ヘルシンキの北西部の端っこ、ムンキニエミ地区(住所:Riihitie20)にあります。住宅街の中にポツンとある広めの一軒家です。
アアルト自邸へはトラム4、4Tで行く
ヘルシンキ中央駅から行きたいのであれば、トラム4、4T番に乗るとよいでしょう。終点から数えて2つ目の「Laajahden aukio」で降車します。中央駅からは20分ほどかかったと記憶しています。
アアルト自邸への目印は図書館
アアルト自邸は、少しわかりにくい場所にあります。トラムを降車したら、左方向に曲がって少し歩き、最初の十字路をまた左方向に曲がると、坂の中腹あたりに見えてきます。10分くらい歩いたと思います。
アアルト自邸は、隣に真っ白な図書館があるので目印にするとわかりやすいかもしれません。筆者は最初、何かのお店だと思っていて図書館だとは気づきませんでした…。
アアルト自邸の開館時間
アアルト自邸の開館、営業は13時からです。筆者は13時から開かれるガイドツアーに参加したかったので、15分前くらいに到着しましたが、雪の中で数人の観光客が外で待ちぼうけをくらっていました。
辺りは閑静な住宅街。ひっそりと静まり返っていて、アアルト自邸が本当に開館するのか疑問に思うくらいでした。さすがに寒さがこたえたので、筆者は隣の図書館でしばらく暖をとってひまつぶし。
- アアルト自邸は毎週月曜が休館日
- 冬季の場合、ガイドツアーは火〜金曜は13時、土・日曜は13/14/15時に行われる(ただし、1月1〜6日は毎日営業でガイドツアーは13/14/15時開催)。
アアルト自邸への入館料金
アアルト自邸を見学するには、入館料として一般20ユーロ、学生・シニアは10ユーロかかります(2019年1月現在)。日本円だと2500円(1ユーロ125円計算)なので、貧乏旅行の身には財布的にけっこうきつかった…。
アアルト自邸は直接訪れてもチケットを購入できますが、入館チケットの事前購入を推奨しています 。ホームページから購入可能です(https://shop.alvaraalto.fi)。
アアルト自邸のガイドツアー
13時をちょっと過ぎたら、アアルト自邸の入り口のドアが急に開いて「さあ入って」と職員さんがウェルカム。入り口では、土足で上がりたい人向けに靴に履かせるビニールカバーが置いてある。もちろん素足(靴下)でもオーケー。
先頭で入ったため、いきなり土足か素足を選択させられて、北欧文化に慣れていない筆者はかなり悩んだ末に、素足を選びました。
ガイドツアーには6人ほどが参加しましたが、うち筆者を含む4人が日本人。やっぱり日本人は特にアルテックやイッタラが好きなんですかね。
ちなみにガイドを務める職員さんは英語で解説をしてくれました。外国人にもわかるようゆっくり丁寧にしゃべってくれたが、日本へ帰国したころにはどんな内容だったかすっかり忘れてしまいました。
参加者全員が日本人で、日本語が話せるガイドさん(ハンナさんという方)なら日本語でガイドしてくれるツアーもあるとのこと。
詳細は運営側に問い合わせてみるといいでしょう。問い合わせは次の通り(riihitie@alvaraalto.fi,+358405881016)。
アアルト自邸のアトリエ
アアルト自邸で事務所の奥のドアから続いていたのは、仕事部屋にあたるアトリエ。アアルトが実際に設計した図面や模型、仕事道具を見ることができた。
アアルトがアトリエで実際に使っていたデスク。設計図を書く際に使ったのか、さまざまな仕事道具が整然と並んでいた。受話器を縦に置く電話の形がデザイン心をくすぐります。
外は一面の雪景色で、斜め前にあった広場では子供たちがはしゃぐ声が家の中まで聞こえてきました。
図面とともに置かれた模型は、まさしくアアルトの自邸。スポットライトを浴びた模型は白い輝きを放って、シンプルなデザインを一層引き立てていました。
アトリエには、素人目には何に使うのかわからない道具やおしゃれな皿、時計や絵画などが飾られている。「PLEASE DO NOT TOUCH」。「展示物に触れないでください」と日本語で注意書きされていた。こんなところからも、日本人観光客の多さがうかがえますね。
中二階のライブラリー
アアルト自邸のアトリエの奥には、2階へと続く中二階にライブラリーがありました。アアルトの頭像も置かれていました。いわばただの書庫なのに、なぜこんなにおしゃれに見えるのでしょうか。
設計作業部屋とライブラリーの間には、アルテックのカーテン。レンガ模様の定番デザインは、アアルトの自邸にもぴったりマッチしています。
2階のルーフテラスへと続く扉は、小さな木のはしごを登ってから開けるようです。今回、この扉を開けることはありませんでした。
中二階のライブラリーから、全体が見渡せるアトリエを撮影しました。2階部分に見えるのはバルコニーです。アトリエを照らすランプシェードもシンプルでおしゃれですね。
アアルト自邸のリビング
アアルト自邸のメーンとなる1階中央のリビングは、ガイドブックの写真にもしばしば使われる部屋。アアルトデザイン家具。
手前にシマシマの椅子はアアルト名作の400ルームチェア、ランプもアアルト作品で光が各方向から薄く漏れています。奥のピアノの上に飾られているランプは、親交のあったデザイナー、ポール・ヘニングセンの作品とのこと。
壁一面に広がる窓からは、雪の反射を受けた光がたっぷりと入る仕組みになっている。窓際にはたくさんの植物が光を受けて元気に育っていた。
写真の上部にブラインドカーテンのようなものがかかっているのが少し見えるでしょうか。実はこれ、日本の「すだれ」なんです。アアルトの自邸に日本のデザインも取り入れられていることから、アアルトは和風建築にも興味があったと思われます。
リベングの窓際には、アアルトの代名詞であり湖がモチーフのイッタラ製のアアルトベースの中に、チューリップのような花が置かれてました。
アアルトベースは我が家にもあるのですが、こんな使い方をするとは想像もつきませんでした。
アアルト自邸のダイニングルーム
アアルト自邸のダイニングルームは、1階中央リビングの隣にあります。
ダイニングルームは、アアルトと妻のアイノのふたりが共同でデザインした部屋です。目を引くのはいかにも年代物の椅子ですが、これは夫婦でイタリアのヴェネチア旅行をした際に購入したものだそうです。
ダイニングルームの奥に進むと、食器棚には一目でイッタラとわかるフォルムのプロダクトが。右側のガラス戸にあるのは、デザインした最初の妻の名を冠した名作食器「アイノ・アアルト」が置かれていました。左側はアアルトベースですね。
夫婦が共同デザインした部屋なので、お互いの作品が置いてあるのでしょうか。針金っぽい材料で作られた人形も気になります。
アアルト自邸2階のリラックスホール
アアルト自邸も2階に来ました。細長い階段を上って最初に着くのは、中心に位置するリラックスホールです。ここにも落ち着いたアアルトデザインの家具が自然と調和するように置かれていました。
アアルト自邸2階の主寝室と寝室兼子供部屋
アアルト自邸2階南東の角に位置するのが寝室兼子供部屋にきました。ベッドカバーやラグのカラーが部屋の床の色とマッチしていて、まるでモデルルームのようなたたずまいです。子供部屋は2つありました。
下の画像が夫婦の主寝室になります。こちらは木の色に合わせたように、明るめの部屋の雰囲気となっていました。
アアルト自邸2階のゲストルーム
アアルト自邸2階の西側には、リラックスルームを挟んでゲストルームがありました。こちらもアルテックのレンガカーテンが、シンプルな家具や部屋を引き立てています。
ゲストルームの奥側も撮影しました。主寝室や子供部屋と比べると古っぽくて飾り気がない気もしますが、アアルトの椅子があるだけで部屋の雰囲気がぐっと引き締まりますね。
アアルト自邸2階のルーフテラス
最後に、リラックスルーム西側の扉を開けてルーフテラスを見学。雪のため、外には出られなかったのが残念です。奥の扉はバルコニーで、ルーフテラスはリラックスルームとのつなぐ回廊的な役割を果たしているようです。
アアルト自邸見学を振り返って
今回、アアルト自邸のガイドツアーに参加して思ったことは、本当にこの家が1936年に建てられたものなのかと思うくらい洗練されたデザインをしていることです。
日本の住宅は30年も住むと流行から完全に取り残されたような「古い家」になりますが、アアルト自邸は、建設から83年が経過してもなおモダンさを失っていません。アアルトのセンスがフィンランドの建築やデザインを引っ張ってきたことがよく伝わってきました。
自邸に置かれたアアルトの家具もシンプルな内装に絶妙なアクセントを加えていました。筆者も家を建てたら、リビングに400ルームチェアでも置いてみたいですね(調べたら62万5000円…手も足も出ません)。
ちなみに、この後はアアルトが建設したアカデミア書店内の「カフェ・アアルト」にて、ティータイムを楽しみました。カフェ・アアルトの探訪記は下記リンクから飛ぶことができます。