筆者が初めて訪れたフィンランドのヴァンター空港で、ヘルシンキへの列車の券売機を購入できずに苦戦したという話を書いたことがあります。券売機がヘルシンキ近郊(HSL)とその他地域(VR)の2つから選択するので混乱するのですが、いざ列車に乗ってみると、不思議な光景に出会ったのです。それは「改札」がないことでした。
駅改札を通らずいきなりホームへ
日本では無人駅でない限りは、切符を購入したら大半の人は改札にある機械を通して入場しますよね。ヴァンター空港から地下へと続くエスカレーターを降りてホームに到着すると…あれ?改札を通らずにホームまで来ちゃった。
ホームにはちゃんと券売機があって切符も買えるようになってはいるのですが、チケットを見ることなく電車に乗ることができるという感覚が不思議で仕方ありませんでした。電車に揺られること30分。結局、一度もチケットを誰に見せることもなくヘルシンキ中央駅に着いてしまった二人。当然、中央駅にも自動改札のような類は存在せず、そのまま中心街に出ることができてしまいました。
トラムも地下鉄も同じ
これはヘルシンキ市内を走る路面電車「トラム」でも同じでした。トラム乗り場で一日券を買い、中心街を周遊しましたが、トラムは常に混み合っていて、運転手も一人だけ。乗り込む際にチケットを見せるわけでもなく、運転を止めて切符をチェックするわけでもありません。
我々のような観光客は券売機でチケットを買う姿をよく見かけましたが、明らかに現地人とおぼしき人もトラム車内でピッとカードをかざす姿もちらほらで、何も持たない人がそのまま入っていく姿もありました。この人、本当にチケット買っているの?と疑り深い気持ちにもなるものです。これではわざわざチケットを買わなくても電車がタダ乗りし放題ができてしまうということになってしまいます。
不正乗車の罰金は80ユーロ
ヘルシンキ公共交通のチケットをよく見ると、下部のほうにalv 10% moms 0.82eと書いてあるのがわかりますでしょうか。フィンランドは公共交通一つ乗るにも税金を支払いながら利用しなければならない国です。同国は福祉国家としても有名ですが、タダ乗りしている人の分まで払わされているような気がしてなりませんでした。
続いてはこちらの画像をご覧ください。ヘルシンキ公共交通の券売機です。注目してほしいのは「80ユーロ」と書いてある部分です。画像では文字が小さすぎて何と書いてあるのか詳しく読み取ることができませんが、この金額は何を意味しているのでしょうか。
答えは「不正乗車の罰金」。電車内にはチェッカーと呼ばれる車掌のような役割をした人々が巡回しており、時々チケットの提示を求めてくることがあるらしいのです。その時点でもし不正乗車がばれてしまったら距離にかかわらず80ユーロを支払わなければいけないということが明文化されているというわけです。
ばれる確率こそ低いが…
でも、私たちが乗車した時は車掌さんらしき人こそ見かけたもののチケットの提示も求められなかったし、ましてやトラムなんて乗り降りが激しすぎていちいち確認していられません。キセル乗車がばれる確率は低いと推測されますが、罰金は80ユーロ。まあ私は悪いことはできない性分なのでキセル乗車なんて怖くてできませんしおすすめもしませんが。福祉国家というのは性善説の上に成り立っているのでしょうかね。
[…] 短いヘルシンキ旅行で最も苦労したのはトラム(路面電車)でした。チケットはなんとか買えたものの(買い方は体験記から、または改札がなかった時の話)、どこで降りればいいのかさっぱりわかりません。 […]